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『メンテ ザ ペリオ』山本浩著   を読んで

                                                                                      

                                                           

                                                                                                                                                                                                                                                                          多くの患者様は痛くなってから歯科医院に行き、削って、詰めて、被せて。治療が終われば痛みは消え、メインテナンスは行わず、また痛くなれば来院する。よくあるパターンだ。


しかしそのたびに、口腔内は治療のあとだらけ。メインテナンスを継続していただくために私たちができることはなんなのか。


今回、この本を読み「メインテナンス」について調べてみた。


歯科治療終了後も生涯健康な歯と口の環境を維持するためには、定期的にバイオフィルムを除去することや各種検査・撮影などを行うことが必要である。(バイオフィルとは細菌のかたまりで、むし歯と歯周病の原因。うがいをしたり、軽く磨く程度では取り除くことは難しく、きちんと除去するためには歯科医師や歯科衛生士による器械的な除去が最も効果があるとされている。)


むし歯は削って詰めれば終わりではなくその部分は日常的にむし歯になりやすい環境のため、治療後に以前と同じホームケアでは、むし歯が再発する可能性が高いと思う。


また、歯周病は治療により治癒または病状が安定していても再発しやすい病気である。むし歯も歯周病も、再発を防ぎ健康な状態を維持するためには、定期的に歯科医院で検査をして、歯科衛生士によるメインテナンスをし、ホームケアのアドバイスをもらうことが大切である。


患者様の中には、「歯科検診」と「メインテナンス」を混同している方がいる。

「歯科検診」は病気を早期に発見して早期に治療することを目的とした検査であり「メインテナンス」は、健康な歯と口の状態を維持するための健康管理である。


まず大切なことはリコール間隔決定である。疫学調査で三ヶ月という間隔が有効であることがわかっている。しかし、口腔内の状況によっては間隔を歯科衛生士が考えないといけない。


リコール間隔の増減をする場合私たち衛生士が重要視するべき点はBOP率である。これが急上昇すれば、患者さんに骨の吸収や付着喪失の起こる可能性が高いことを説明し、リコール間隔は短くしますりもちろん安定すれば基本の間隔に戻すのですが、日頃からデータを患者様と共有していれば、患者さん自身によく理解してもらえるので、リコール間隔を短くすることに反対する患者様は少なくむしろ心配なので早く来たいという患者様が多いことがわかった。


プロービング値でリコール間隔の増減を決定するのもいいが、どちらかというとBOP率よりも後手に回るということもわかった。なぜなら、出血が増える方が、プロービング値が上昇するよりも早く出現する可能性が高いからだ。


長くメインテナンスを行なっていると、生活習慣が急に変化したり、体調の変化が起こって思わぬ悪化が起こるようなときもある。もし、セルフケアレベルが落ちていた場合は、患者様の置かれた状況を配慮し、「ブラッシングが悪いから短い間隔で来院するように」と説明するのではなく、「ブラッシングがままならないような時期なので、プロケアを頻繁に受けるようにしてください」と説明する方が患者様も救われる。


患者様のモチベーションを落とさないように上手に伝えることが大切であると感じた。


もう一つ大切なのはトータルマネジメントである。患者様が歯周病リスクが高いのか、齲蝕リスクが高いのか注目しメインテナンスを行う。メインテナンスに移行するまでは良くする事ばかりを考えて取り組むわけだが、メインテナンスでは悪くならないことを考えなければならないため、もし悪くなるとすれば、齲蝕で悪くなるのか、歯周病で悪くなるのかをイメージすることが大切で、患者様のマネージメントにもつながる。


だが、ただ歯周治療後のメインテナンスに取り込んでいると、それまで歯周病タイプだったと思っていた患者様に根面う蝕が発生し困ることも考えられる。歯周治療をすれざ多かれ少なかれ根面の露出を起こしてしまうので、齲蝕リスクの高い根面に齲蝕ができてしまう。


そこで患者様のリスクアセスメント後は、齲蝕、歯周病の両方についてのマネジメント、つまりトータルマネジメントが必要になる。


歯周病、齲蝕ともにローリスク、ハイリスクに分けると4通りの組み合わせができる。この場合、歯周病のリスクをベースに考えると良い。歯周病ローリスクの場合、それを維持しながら齲蝕リスクを下げる治療を重視する。齲蝕リスクも低い場合、予防処置すなわち発症予防を目指したメインテナンスを行なっていく。歯周病ハイリスクの場合、齲蝕のリスクによってアプローチを変えることが望ましい。


リスクが低い場合、歯周治療を重視して治療を進める。切除療法のような根面露出の伴う治療をしても良いということになる。ただし虫歯菌が多少住みついていて、唾液の力で発症を免れているような場合は、将来唾液に問題が発生した時に齲蝕リスクが高くなることがあるので注意する。リスクが高い場合、いきなり積極的な歯周治療を始めると。どんどん根面齲蝕が発生する可能性がある。


出来るだけ齲蝕リスクを下げたあと、歯周治療に入ることが望ましい。もし齲蝕リスクがあまり下がらないような時には、歯周治療では歯肉退縮を起こすような治療法は出来るだけ避けた方が無難である。


しかし、プロがどれだけ頑張っても最終的に大切なのは患者様のセルフケアである


年に4回(3ヶ月ごと)にメインテナンスを受けていたとしても1年365日の内の4日でしかない。


メインテナンスで除去したバイオフィルムの定着を防ぐためにも残りの361/365日のホームケアが重要である。私たち歯科衛生士はプロフェショナルケアを行うだけでなく、セルフケアのアドバイスを行い患者様のモチベーション高めていく必要があるということも頭に入れておきたい。


メインテナンスを行うことで、齲蝕発生の減少、喪失歯の減少、歯周疾患の減少、また治療した歯(クラウンやブリッジ)の持ちが良くなったり、平均寿命を伸ばすというデータが出ていた。忙しく来院を継続して行うことができない、お金が多少かかってしまう。しかしメインテナンスは患者様にとってメリットの方が大きい。


今回、患者様に合ったプロケアを行うこと、そしてモチベーションを高めるために過去、現在のデータと比較してみたり、目標を明確にすることが大切であるということがわかった。来院した際には、必ず前回よりよくなったところを見つけ伝えること、そのあとにダメな部分があれば伝えてもいいが、モチベーションを下げてしまわない程度に注意したい。


また、プロフェショナルだけでなく、患者様自身のセルフケアがとても大切であるということもわかった。


メインテナンスは、歯周病学のみならず、細菌学、口腔衛生学、診断学、そして心理学にまで幅広い背景が存在することがわかった。勉強をし、経験んすればするほどその世界の広さと深さに終わりはないと感じた。

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